- 投稿日
- 2019年6月15日
【トランス君講座】電力自由化のしくみ
≪目次≫
1.電力自由化とは?
2016年度より住宅やコンビニといった低圧・電灯の電気の小売が自由化されました。
今までは日本全体を10社の電力会社が各地域を独占していたため、各家庭はその地域の電力会社との契約をするしかない状態となっていたのです。
しかし、自由化前の電気料金は国がチェックしていたため、市場の独占化にあっても電気料金の価格は安定しており停電などの異常も大きな問題になりませんでした。
では、この自由化によって何が変わっていくのか。
今回は日本における電力自由化について説明をしていこうと思います。
電力を自由に「発電・小売」
電気事業は、法律上3つの区分に分けられています。
「発電事業者」「送配電事業者」「小売電気事業者」
これらの事業者は、それぞれ国からライセンスと法律上の規制を受けています。
今までは、地域に1社の一般電気事業者(関西電力や四国電力、中部電力など)がこれら3つの事業区分を独占していました。
電力の自由化はこの中の①「電気を作る」と③「電気を売る」という2つの段階を誰でも出来るようになったのです。
この自由化に伴い、電気料金は国のチェックを受けた「規制料金」ではなく、自由に「電気料金」を決められる自由料金になりました。
電気が届くまでには、「発電」「送配電」「小売」の3つの部門があります。
現在、話題になっているのは、日々の生活に関わり深い「小売」の事業部門です。
実際に家庭に電気を送る電線や変電所が決まっていなければ、電気の供給が不安定になり、安心・安全を確保できません。
電気の安定供給を実現するために、電気を送る送配電業者は今までと同じ関西電力や四国電力などの電力会社が担当しています。つまり、これまでと同じ電線・電柱や変電所を使います。
2.小売の自由化で変わるものとは?
電力の小売が自由化されることにより、様々な事業者が電気の小売市場に参入してくることで、価格競争が発生・活性化し、様々な料金メニュー・サービスが登場しています。
電気とガス、電気と携帯電話などの組み合わせによるセット販売や、時間帯別の多様な料金プランの選択など、創意工夫のある小売の形が登場し、顧客の獲得が進んでいます。
例えば・・・
- 電気代重視の人は、生活時間に合わせて電気代が安くなるプランを。
- 料理店でガスもたくさん使う人は、電気とガスのセットプランを。
- 地元企業を応援したい人は、地元の電力会社のプランを。
このように、消費者に選択の自由が生まれ、それぞれの考えに合わせた電力の消費が可能になるのです。
電力自由化前後で変わること
電力の自由化によって変わることをまとめました。
倒産の可能性こそあるものの、すぐに新しい契約を別の電力会社に切り替えることが可能のため、心配はほとんどないと言って良いでしょう。
契約内容の多様化により、どこを選ぶべきか悩むという場面こそありますが、自分の納得のいく契約を結べるという電力自由化は各家庭に合わせた消費形態で電気料金と向き合える大変重要な内容となっています。
電力自由化前後のまとめ 変わらないこと
電力が自由化しても変わらないことをまとめました。
①送配電事業者
②電柱や電柱の電線
③電気の品質
④停電の復旧
⑤保安調査
以上の内容はこれまでと変わることはありません。
電気の品質については、一旦同じ変電所に集め一定の品質に整えることで安定した供給を行っています。
3.まとめ
2019年現在でも、電力消費の契約は自由化しており、各家庭に合わせた電力消費の形態を選択することができます。
小売価格の競争により、FIT終了後も安全で安定した電気の供給はもちろん、エネルギー業界の健全な発展が期待されています。
今後はより多様化した電力消費のプランが増えていくでしょう。