- 投稿日
- 2019年7月27日
【トランス君講座】20年後に来るパネル寿命、太陽光発電設備の廃棄費用について考えよう!
今回は太陽光発電設備の廃棄費用について説明していくよ
≪目次≫
太陽光発電設備の撤去費用
2019年4月、経済産業省の総合資源エネルギー調査会に設置された”太陽光発電設備の廃棄費用の確保に関するワーキンググループ(GW)”の会合が開催されました。
そこでは、太陽光発電設備の撤去費用の積立制度を整備するという内容について話し合われました。
まだ具体的な積立方法は検討段階ですが、「発電事業者の売電収入から費用負担調整機関(FITに基づく再エネ賦課金の単価が全国一律になるよう、地域間の調整を行う清算機関)が源泉徴収的に積立を行う方法」や「発電事業者が内部積立する」等の方法が上がっているそうです。
再生可能エネルギーが日本のエネルギー供給の大きな役割を担う責任ある電源として、長期安定的な電源となるためには発電設備の廃棄費用を確保していくことが必要とされています。
撤去費用はなぜ必要なのか?
大きな理由としては発電事業が終了した発電設備の放置、不法投棄や、将来起こりえる太陽光パネルの大量廃棄が心配されているからです。
パネルの寿命は約20~30年程と言われていますが、早ければ2020年代頃から太陽光パネルの廃棄処分が大量発生するのではないかと考えられています。
パネルの種類にもよりますが、鉛やセレンなどの有害物質が含まれている場合もあり、処分するには適切な方法をとらなければなりません。
環境省では、将来起こりえる太陽光発電設備の大量廃棄に備えて、リサイクルの推進に向けたガイドラインを制定しています。ガイドラインには撤去方法、リユース・リサイクル方法について取りまとめられています。
太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(環境省)
撤去費用とFIT
太陽光発電設備の撤去費用について、現在様々な方法が検討中であるとここまでご説明してきました。
しかし、この廃棄費用は太陽光発電固定買取制度(FIT)に含まれているのです。 太陽光発電設備の放置や不法投棄を懸念して、FITで廃棄費用等をまかなえるようにされています。
廃棄費用は資本費の5%と想定されており、20年間の売電収入で廃棄費用をまかなう設計になっています。
制度上では廃棄費用が捻出できない事態は起こりづらいと考えられていますが、今後廃棄費用が高騰するようなケースがあれば費用捻出が難しくなる可能性もあります。
撤去費用のこれから
政府は「事業計画策定ガイドライン」を改訂し、これまで努力義務としていた事業用太陽光発電設備(10kW以上)の廃棄などの費用の積み立てを義務化しました。 その後にFITの認定を受けた設備の定期報告の中で、積立計画と進捗状況の報告を2018年7月23日から義務化しました。
しかし定期報告の中の積立進捗状況(2019年1月時点)を見ると、低圧(20~50kW未満)、高圧/特別高圧(50kW以上)ともに84%が「積み立てていない」と回答していることが分かりました。
そのため経済産業省は現在、積立方法に関する新制度の整備を進めています。 もともとは努力義務とされていた廃棄費用の積み立ても、源泉徴収方式を導入する選択肢もあるようです。 また発電事業者の負担軽減も考慮し、積み立ての時期・水準・回数を併せて検討しています。
まとめ
今回は太陽光発電設備の廃棄費用についてお話しましたが、いかがでしたでしょうか?
太陽光投資を始める際に、設置費用や運用に気を取られてしまい廃棄費用については後回しになってしまう方も多いのではないかと思います。今回記事が、廃棄について少しでも考えて頂けるきっかけになれば幸いです。
現在は様々なことが検討段階ですので、今後の動きにもぜひご注目ください!
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
<参考リンク>