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投稿日
2019年5月18日

なぜ太陽光発電は日本で最も期待される再生可能エネルギーとなったのか? 世界でトップクラスに普及が進んだ理由!

こんにちは! トランスです!

今では再エネの代表的存在となっている太陽光発電ですが、その普及の裏には多くの努力がありました。
今回は太陽光発電を設置する意義について、これまでの普及の背景から、理解を深めていきましょう!


1.世界の第一次エネルギー構成における再エネの割合は10%程度


日本の第一次エネルギー(自然界から得られた変換加工していないエネルギー源のこと。これらを発電所で加工し、電気として使えるようにしたエネルギーなどを二次エネルギーと呼ぶ)において、再生可能エネルギーがどのくらいの割合を占めているかご存知でしょうか?

その割合は、2017年の実績において約9%

・・・少ないと思われませんか?

「2030年度には、この比率を22~24%程度に増やす」との目標を、日本は掲げています。
しかし、見ての通り、日本に限らず世界のエネルギーの多くは、石油や天然ガス、石炭などの「化石燃料」に未だ依存しています

石油や石炭などの化石燃料は有限であり、いつかは枯渇してしまう燃料です。
1970年代、日本では「石油が供給されなくなれば物資が不足するのではないか」という不安がたちまち広がり、トイレットペーパーなど物資を買い占める人々で全国のスーパーがごったがえすなど、普段の生活に大きな混乱を招く出来事が起きました。
ご存知の通り、二度に渡るオイルショックのことです。

人が生きていく上で、資源は欠かすことができないものです。
オイルショックは「資源がなくなるかもしれない」という人々の不安から起こったことですが、それではもしも人類が実際のエネルギー不足に陥り、普段の生活の中で電気やガスが使えなくなったとしたら・・・あなたの生活はどうなりますか?

そして、世界はどうなってしまうのでしょうか?

歴史上の戦争や紛争が起こった理由を見ていると、資源の埋蔵する土地や領土の奪い合いは特に珍しいことではないよね。
太陽光発電システムをはじめとした「再生可能エネルギー」に世界が注目することには、さまざまな背景や事情があるんだ。


2.「日本」は太陽光発電の導入量が世界でもトップクラス

オイルショックをきっかけにして、石油だけに頼らないエネルギーの長期的な安定供給の確保を目指す『サンシャイン計画』が、日本における初の本格的な再エネ政策として、1974年~2000年まで取り組まれることとなります。

実は1950年代、日本はエネルギー供給の半分(50%)近くを水力発電が占めている再エネ大国でした。
今でも水力発電は、天気や日照などの自然条件に左右されない安定した供給源として、日本の再エネ供給の半分近くを占めています。
しかし、これまでの日本の成長を支えてきた大規模水力はすでに多くの場所で開発が進められ、新たなダムを建設できる場所は限定的で、ダムの建設には巨額の資金と長い時間を必要とします。
このため、水力発電の開発は十分には進んではいません。

ほかにも地熱発電、風力発電、バイオマス発電、水素エネルギー、石炭の液化・ガス化などの研究が総合的に進められる中、日本において昔も今も最も今後が期待されており、世界でも指折りの導入量を誇る再生可能エネルギーが太陽光発電です!


GSR2017(世界の自然エネルギーの概況を最も包括的に示す年次報告である「自然エネルギー世界白書」)によると、2017年度の日本の太陽光発電導入量は、世界では中国に次いで第2位となっています。
2018年度にはアメリカに抜かれてしまいますが、それでも太陽光発電が最も普及している国のひとつと言えるでしょう。

3.なぜ日本では太陽光発電の普及が進んだのか?

太陽光発電において昔から変わらず重要となる課題は、低コスト化と高性能化です。
そしてもうひとつ重要なのが、普及を後押しする国の政策です。
オイルショック以降の太陽光発電に関する目立った日本の政策を2つ、解説します。

1.1980年~1996年:『ソーラーシステム普及促進融資制度』

個人が住宅にソーラーシステムを設置する際、設置資金の融資が低利で受けられる支援制度です。

サンシャイン計画が始まった1970年代の太陽電池製造コストは、1Wあたり数万円でした。
今では1Wあたり数百円であることを考えると、その破格の高さがわかるでしょう。
それでもなお、融資件数は累計で27万4000件になるなど、太陽光発電の一般家庭への普及を促しました。

昔の太陽光発電の購入者は、新しい物好きだったり、最先端の技術に興味のある人だったりで、まだまだ一般的ではなかったみたいだね。
でも、こういった人々に利用されて、太陽光の技術革新はさらに進められたんだよ!
2000年代半ばには環境問題への注目の高まりもあって、世界各国の再エネ技術開発や導入拡大の取り組みはどんどん加速したんだ!


2.2012年:『固定価格買取(FIT)制度』


出展:Bloomberg new energy finance ※為替レート:日本銀行基準外国為替相場及び裁定外国為替相場 (2017年5月中において適用:1ドル=113円、1ユーロ=121円) グラフは『資源エネルギー庁』

太陽電池技術のコモディティ化が進み、急速なコスト低下と共に世界各国に定着し始めた頃、日本の太陽光発電を一気に普及させたのがFIT制度です(さらに詳しく⇒『太陽光の固定価格買取制度とは?』)。

電力の買い取り制度自体は、1992年に電力会社が自主的な取り組みとして始めたのですが、2009年には全ての電力会社を対象に国から義務付けられることとなりました。

この制度のおかげで、投資家も巻き込んだ「売電事業」が著しく拡大します。
それまで太陽光発電は住宅用システムが中心でしたが、メガソーラーなど大規模発電設備の設置が相次ぎ、また一般家庭の人々の間に太陽光発電の利益性が認知されるようになったことで、「売電のため」「環境のため」に太陽光発電を購入することが普遍的な理由となりました。

これによって、FIT制度開始する前までの太陽光発電の累積導入量は約5GWでしたが、開始後の2017年3月末には、たった5年間ほどで約39GWにまで拡大しました!

日本の太陽光発電の普及に、FIT制度がどれほどの影響を与えたのかがよくわかりますね。

まとめ:太陽光発電の普及には国の政策が大きく影響している!

私たちの生きる社会を持続可能にすること、人々がこれからも平和に豊かに生きていくために、世界各国が再生可能エネルギーに対して関心を寄せています。

特に化石燃料のない日本は、さまざまな政策を施すことによって、再生可能エネルギーの普及を積極的に推し進めてきました。
その努力により、再エネ発電コストは年々低くなっていますが、それでも海外に比べるとまだまだ高く、低価格化に向けた技術開発や規制改革などが必要です。

今後も日本がどのようなエネルギー政策を打ち出していくのか、その動向に注目しながら、その意義について私たちも共に考えていきましょう!

太陽光発電についてもっと知りたいことがある、設置にご興味を持たれたという方は、
ぜひ、一度弊社にご相談ください!




<参考リンク>
資源エネルギー庁
自然エネルギー白書2017
日本原子力文化財団 「原子力・エネルギー」図面集